しらかわ読書会

福島県白河市で読書会を中心にいろいろやっています。

「いわきの読書会」に参加してきました

12月15日、福島県いわき市で行われた「いわきの読書会」に参加してきました。


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会場はいわき駅前、いわき市立図書館内の会議室です。参加者は8名ということで、ちょうどいい人数だったのではないかと思います。

課題図書は、伊坂幸太郎『アイネクライネナハムトジーク』でした。伊坂作品はたぶんはじめてでした。

中身はというと、いわゆる恋愛小説だと説明されています。が、わたしには群像劇の側面が強いように思われました。短編が寄り集まって成立している作品で、それぞれの話に主人公がいます。小さな物語の主人公たちを中心に、恋愛やそれに関する事件に対応する姿が描かれることになります。

初読の感想は「登場人物が多く、それぞれのキャラクタが把握できない」というものでした。だから、群像劇だという理解をしたんだと思います。

読書会の際にも、作品構成や登場人物の描き方については問題になりました。フィナーレを飾る「ナハムトジーク」に関しても、構成上失敗しているという評価が何人かからありました。わたしもそんな評価をしたうちのひとりです。

いま、改めて群像劇という形式を考えてみると、誰かひとりに焦点を当てることは、この作品をうまく読み解くことにつながらないように思い始めました。それぞれの物語を短編として評価せずに、ひとつの物語として読んだとき、どのように解釈できるんでしょうか。

各短編の登場人物たちは、知人や友人、親子という「つながり」でゆるくつながっています。群像劇は、特定の空間に集まった人々が、それぞれ物語を紡いでいきます。本作品は、空間のかわりに「つながり」を舞台にした群像劇なのではないかと思います。

読書会に参加させていただいたことで、少し理解が進んだ気がします。主催者さん、参加者のみなさま、ありがとうございました。