しらかわ読書会

福島県白河市で読書会を中心にいろいろやっています。

「めったに展示しないもの展」(@須賀川市立博物館)

須賀川市立博物館の夏季テーマ展を見に行ってきました。どうしても見たかった企画展で、最終日に滑り込みました。

www.city.sukagawa.fukushima.jp

なお、企画展内は撮影可能。念のため。


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めったに展示しない=収蔵品なわけで、他館からの貸し出しのない収蔵品展ではありますが、タイトルそのものずばりの切り口に惹かれました。良い切り方・見せ方だと思います。

 

博物館の機能としては、収蔵して保管していることはもちろん重要なのですが、どうにか活用しようという意志を感じました。

これは良いな、と思ったのがこちらのキャプションです。


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ひどい写真ですが、スマホ撮影ですので・・・・・・。

このキャプションの最後の一文は「ざんねんながら どこで はっけんされた ものか わからない」です。これは博物館資料、特に地質学上の標本としては、致命的なのではないかと思います。博物館資料として位置づけが難しいため、「めったに展示しない」状態になっているものと考えられます。ですが、そんな死蔵されかねない資料も、今回のような企画の立て方次第で、活用することができる。

 

そのほかの展示資料は、いわゆる民俗資料(民具)が多かったです。民俗資料が多かったのは、常設展示室に民俗分野の展示がほとんどないことも関係していると思われます。企画展は常設展示を補完する機能をも担うべきだと考えています。常設展示に民俗の展示がないからこそ、「めったに展示しない」民俗資料がたくさんあるはずです。

 

よく小学校の社会科の需要に応えて、「昔の暮らし」展をやっている館もありますが、やはりどこの館も似たり寄ったりになりがちです。また、学校の教科書ベースで展示を計画するために、全国どこの館でも同じような展示をすることになります。それは、地域間の差に注目し、それらの比較検討を主たる方法論とする日本民俗学のやり方とは、相容れないものだと感じています。

閑話休題

たとえ民俗の常設展示がない館であっても、こんな形で活用している展示を見るのは非常に刺激になりますし嬉しいですね。